五島列島福江島には浅瀬を利用した原始的漁法の跡地が現存している。スケ網(あん)と呼ばれる漁法で潮の満ち引きを利用した単純な漁法。現在に残る昔ながらの漁法跡地を訪ねてみた。
スケ網は自然の摂理を利用した漁
スケ網またはスケアンと表記されるこの漁法は、潮の満ち引きを使った漁法だ。満潮のときに入ってきた魚を干潮で海水が引いたときに堤防の中に取り残された魚を取るという原始的な方法。しかし、現在でも利用できる自然の摂理を利用した賢い漁法とも言える。最古の漁法とも言われるこの方法での漁の跡地が福江島には残っている。
スケ網の方法は単純で浅瀬の海岸に石垣で堤防を築く。上の写真の真ん中を通っている石垣がそれだ。この石垣は海岸の一部を取り込むように組んである。
満潮のときにはこの石垣を超えた海水が入ってきてそのときに魚もこの場所にやってくる。干潮になり海水が引いたときに石垣内に取り残された魚は海水に戻れなくなる。その魚をそのまま獲るという方法だ。理解してしまえば単純な方法だが、潮の満ち引きを知らなければできない漁法。
この漁法は、石干見漁法といい東南アジアから九州に広がって伝わっている。五島列島にもかつてこの漁法が伝わり、始まったのだろうと考えられる。
上から見たスケ網の全容。上空から見るとよりよくスケ網の理屈がわかる。遠浅の岩場の海岸だから可能な漁法ということも上から離れて見るとはっきりと理解できる。
福江島には三井楽や富江の海岸にスケ網の跡地が現存している。現在は観光用の漁として活用している。機会があればスケ網で魚とり体験をしてみるのもおもしろい。