五島列島福江島でのお土産選びをするときっとどちらかは買うであろうお菓子がある。それが治安孝行(ちゃんここ)と八匹雷(はっちかんかん)だ。福江島を代表する銘菓といってもいい両者だが、じつに似ているお菓子なのだ。だけど微妙に違う。そんな違いを比較してみよう。
治安孝行(ちゃんここ)は餅を粒あんで包んでいる
まずは、治安孝行(ちゃんここ)。「ちゃんここ」とは、お盆の行事のことで初盆の家や墓で衣装をつけた踊り子たちが踊り先祖供養するというもの。治安孝行の文字はお菓子用につけた当て字かもしれない。
治安孝行の外箱。チャンココの舞のイラストが描かれている。お盆になると福江島で見られる先祖供養の踊りだ。
ふたを開けると個包装になっていてこのように並んでいる。治安孝行の時代を感じさせる文字とイラストが長く作り続けているという年季も感じさせてくれる。
包装を開けるとこのように。包装紙にも食べた方が書いてあり「手のひらにおいて開けるときな粉が飛び散らずに召し上がれます「」とのこと。見てわかるようにきな粉でふんだんに覆われているのでまき散らさないように食べたい。水あめで練った餅を粒あんでくるんでそれをきな粉でまぶしている。口に含むとそれぞれの甘さがほどけてくる。お茶と一緒にいただくとよりおいしい。
治安孝行を販売する「はたなか」の店舗前にはチャンココの舞いの銅像が立っている。
八匹雷(はっちかんかん)はおまじないが名の由来
対抗馬となるのが八匹雷(はっちかんかん)だ。八匹雷と書いて「「はっちかんかん」とはふりがながないと読めない。
そもそも「はっちかんかん」とはなにかと言えば、災いから身を守るおまじないのことだそうだ。旧暦の2月1日に農耕の初仕事の日として一年間災いがないようにと串に団子を3つ刺したものを家のまわりに飾る風習があり、その団子は誰が食べてもよいことになっている。ただ、食べるときには「はっちかんかん、だご(団子)三つ」と言わなければならないということらしい。八匹雷の文字は「はっちかんかん」の当て字であろう。
個包装には雷さんのかわいいイラストだ。
包装を開けると、3つの餅が串にささっている。こちらも水あめを練った餅でそれにきな粉をまぶしている。しかし、この包装を開いたところは治安孝行とうり二つだ。どちらもきな粉をまぶしているお菓子なのでこの二重の紙で包装する手段をとっているのかもしれないが、よく似ている。
こちらは餅には何も入ってなく、きな粉をまぶしてある。岡山の吉備団子に味や触感は似ている。小さく3つになっているので食べやすい。
八匹雷(はっちかんかん)を作る松風軒のお店。大きく八匹雷の文字が見える。
さて、福江島を代表する銘菓、治安孝行(ちゃんここ)と八匹雷(はっちかんかん)、どちらがお好みだろうか。もしまだ食べたことがないという方はぜひ福江島で食べ比べてみてほしい。福江島のお土産としてもおすすめだ。