五島列島の宇久島にある神社にはソテツの巨樹がある。境内のほとんどはソテツで覆われているほどの群がり様。このソテツには悲恋の話しがまつわっている。
三浦神社の大ソテツ
宇久島の三浦神社は、大きなソテツがあることで島内では有名だ。昭和33年には長崎県の天然記念物にも指定されるほど。しかし、この大きなソテツにはある悲恋のストーリーがあった。
三浦神社の鳥居。見る角度によってはソテツのほうが大きく感じるほどソテツが成長している。
境内はもはやソテツで覆われていて中には容易には入っていけないほどの育ちよう。
ここまで手付かずのような状態でソテツが育ち放題になっているのには理由がある。それはこのソテツにはひとつのいわれがあるからだ。
要約すると昔この地元の娘とここに船で入ってきた兵士が恋をした。兵士が朝鮮へ出兵した後も毎日帰りを待っていた。しかし、いつまでたっても帰ってこないことに悲観した娘は崖の上から身を投げてしまう。地元の人たちによって娘は葬られたが、その場所からソテツが育ったという。これは娘の化身だといい大事に育てられた、という話。言い伝えではこのソテツの下にはこの娘が眠っているということである。
ちなみにここのソテツの葉は枯れ葉一枚、また石ころひとつも持ち帰ってはいけない。もし持ち帰ると海が大荒れになるという言い伝えがあるそうだ。